人生のステージは、自ら引き上げていくもの

先日、兄とじっくり話をする時間がありました。

父の三十三回忌の際にも顔を合わせましたが、家族みんなで過ごす時間とはまた違い、兄妹だけで向き合う時間には、独特の深さがあります。

今回の話題は、「人生のステージ」についてでした。

兄はこの一年で、仕事のステージが大きく変わったそうです。

これまでのプレーヤーとしての役割に加え、音楽監督としての立場も担うようになりました。

そのきっかけは、一見すると偶然のような出来事だったとのこと。
しかし話を聞くほどに、それは決して偶然ではなく、必然の積み重ねであると感じました。
「常にプロとしての仕事を、きっちりまっとうする」
その姿勢を、日々変わらず貫いてきたからこそ、次の役割が巡ってきたのでしょう。
その在り方は、まさに職人そのものであり、身内でありながら強い敬意を抱かずにはいられません。

兄は音大で多くの生徒を指導していますが、その中には際立った才能を持つ生徒もいるそうです。
一年次は講師を選ぶことができませんが、二年次からは生徒自身が講師を選択する仕組みになっています。
興味深いのは、兄が「この生徒は必ず伸びる。自分が関わればさらに高められる」と感じた生徒が、不思議と兄のもとを選ぶという点です。
この話は、人と人との関係性における本質を示しているように思えました。

人は、自分の現在地に見合った縁の中に身を置いている。
そして、自らの在り方が変われば、引き寄せる縁もまた変わっていく。
より高いステージを望むのであれば、まず自分自身をそのステージにふさわしい状態へと引き上げていく必要があります。
環境や出会いを変えようとする前に、自らを変えること。
それが、最も確実な道なのだと改めて感じました。

別れ際、兄はこう言いました。
「これから先、お前にも必ず良い弟子との出会いがある。
そのためにも、自分を常に磨き続けることやで」

その言葉には、経験に裏打ちされた確かな重みがありました。
そして最後に、
「命尽きるまで、神様が与えてくださる人生のテーマに取り組もうな。お互い頑張ろう!」
そう言って、固く握手を交わしました。

人生は、与えられるものではなく、積み上げていくもの。
そして、道は進もうとする者の前にしか現れません。
進んだ先にしか見えない景色があるからこそ、今この瞬間をどう積み重ね、進んでいくかが問われています。

人生の終わりに、どれだけの歩みを神様に報告できるのか。

それは、日々の選択と積み重ねの先にあるものなのでしょう。

また一日、自分自身を引き上げる意識で歩んでいきたいものです。