幸せな時間

今日、南海高野線の電車に乗っていたときのことです。

ベビーカーに赤ちゃんを乗せたお母さんが、乗ってこられました。

私は端の席に座っていたので、ここならベビーカーをそばに置いて、お母さんも座りやすいかなと思い、席をお譲りしました。
そして、向かいの席から、何気なくお二人を眺めていました。

お母さんが、ガーゼのハンカチで赤ちゃんのお口をポンポンと拭きました。
すると、それが面白かったのでしょう。
赤ちゃんが、キャッキャと声をあげて笑い出したのです。

その笑顔が嬉しかったのか、お母さんも何度もお口の周りをポンポン。
赤ちゃんは、ますます嬉しそうに笑います。

ポンポン。
キャッキャ。

ポンポン。
キャッキャ。

なんて幸せそうな二人なのでしょう。

赤ちゃんは、お母さんが大好き。
そして、お母さんもきっと、この赤ちゃんのことが宇宙で一番大好きなのでしょう。

ただ、それだけのこと。

何か特別なことをしているわけでもありません。
けれど、その何気ないやりとりが、私には神々しい光に包まれているように見えたのです。

気がつくと、涙がこぼれていました。

そこにあるのは、ただ、清らかな愛だけの世界。

なんて美しいのでしょう。

まるで、一枚の絵画。
聖母マリアと幼子イエスを描いた絵を眺めているようでした。

ずっと、ずっと眺めていたい。

そんな幸せなひとときも過ぎ、やがて電車は堺東駅へ。

赤ちゃんとお母さんが、これからもずっと幸せでありますように。

そう心の中で願いながら、私は電車を降りました。